性的対象 (東京事変のアルバム風に)

必要ヴォルティスロボこと、つぃっ太のツイッターでのつぶやきを更に突っ込んで整理、発表したい時に利用しようと思います。 https://twitter.com/sangatukitijitu 主に 能年玲奈の事 あまちゃん他ドラマの事 ももクロちゃんの事書いてます。 

あまちゃん論 宮本信子

あまちゃん世界を形づくる大きな要素として、夏ばっぱこと宮本信子がいます。彼女は天野春子の母にしてアキの祖母という設定。北三陸市の北の海女クラブの会長を長年務める地元の顔役でもあります。この人の存在はともすれば空中分解しそうになる危うい世界(これは後々、私がこの世界を読み解く際のキーワードとなる「この世界はファンタジー、童話の世界」という切り口からは宿命的に避けられない要素なのです)を、彼女の存在が架け橋しています。

リアルな北三陸の名士としての顔、突然、超能力者のように描かれ始める天野春子の実母としての顔、正体不明の存在で在り続けた天野アキ(天野秋、では無いのです)の祖母としての顔。これらは演者にとって実際は容易なものではなかったはずです。

 

なぜなら、これらの要素は全て物語上での描かれ方が違うからです。

 

物語序盤、この物語は北三陸市及び北鉄、つまり現実に存在する岩手県久慈市および三陸鉄道北リアス線の現状を、かなりリアルに冷徹に、非常にシニカルに描写します。実はとても深刻な環境にあの世界はある。そこに、「黒川母娘」という異物がやってくる。一人は物語の発端となる脱出劇を遂げた反逆者。もう一人はその娘。

物語は、この「異様な存在」のフィルターを通して徐々にリアルからファンタジーに変質していきます。トムクルーズ主演のワルキューレというナチスドイツを題材にした映画で、序盤彼ら登場人物はドイツ語を話しているのですが、徐々に英語の科白へと言葉が変わっていき、映画の世界へと入っていく。それと同じような事が起こる。

 

この時、一人リアリティとファンタジーの架け橋をナレーションを兼ねながら続けるのが宮本信子さんでした。私たちは彼女にいわばまず騙される形であの物語を硬質なドキュメントから朗らかな朝の連ドラへと脳内変換していたんだと今になって思うのです。これが役者の力というものなんではないか。

彼女は大変な難役をこなしておられたのかな、と。あの方の演技キャリアがあっての事だったのだろうと。そしてNHK朝の連ドラは、この手の老齢の名優がとても力強く物語の底を支えている事が多いのかなと、感じさせていただいた次第です。

 

<blockquote class="twitter-tweet"><p>東京に行く、ってアキに言われた瞬間、夏ばっぱにふっと一瞬よぎった表情にむねがつまった。やっぱり、のような、寂しさのような、諦めのような、安心したような。 <a href="https://twitter.com/search?q=%23%E3%81%82%E3%81%BE%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93&amp;src=hash">#あまちゃん</a></p>&mdash; 千代丸 (@ayamecherry) <a href="https://twitter.com/ayamecherry/statuses/357899202430369793">July 18, 2013</a></blockquote>

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※ 予想はしてたけど、ツイート埋め込み失敗。使えねえよ?こんなんじゃ、このブログ?